パパママができる子どもの看護

熱があるとき

子どもが病気にかかったとき、パパママが最初に気づく症状No.1がこの発熱です。
発熱は病原体から身体を守るためのメカニズムなのですが、高熱で唸っている子どもがすこしでも楽になれるような対処のしかたについてお話します。

1体温を測る

体温を測る

子どもの平熱にもよりますが、医学的には「発熱」とは37.5℃以上、「高熱」とは38.0℃以上とされています。(厚生労働省 届出基準)
母乳をあげるときや抱っこしたときなど、スキンシップをはかるときに「熱いな」と感じたときには熱を測ってみましょう。

  • 脇の汗を拭き取る
  • 脇の真ん中あたりに体温計の先が当たるように挟む
  • 終了の音が鳴るまで腕を抑えておく(子どもが抑えられるのを嫌がる場合はおもちゃなどであやしながら行う)

子どもの熱は一般的に夕方から夜にかけて上がりやすく、朝方には0.5~1℃程度低くなる傾向にあります。
一旦平熱(37.5℃以下)になっても、一日のうち一回でも38.0℃以上になったときは発熱とみなします。熱があるときは少なくとも朝起きたときと夕方の2回は測っておきましょう。
また、体温計の温度だけでは子どもの状態は把握できないし、対処も一概にはなりません。次の章の、「手足の温度を確認する」で確認してから対処を考えていきます。

2手足の温度を確認する

手足の温度を確認する

子どもの熱の上がり始めは血管が縮んで循環が悪くなります。
そうなると、心臓から遠いところにある手足が冷たくなりやすく、悪寒がして震えることもあります。体の熱がしっかり手足まで伝わって暖かくなってきたら熱が上がりきったサインになります。手足を触ってみて、冷たいか温かいかでパパママがやることが変わってきますので、熱が高いことがわかったら、確認してみましょう。

手足が冷たい場合

  • 服をもう一枚着る
  • 毛布をはおる
  • 手袋や靴下があったら履かせる
  • 30分~1時間後にもう一度手足を触って確認する

手足が暖かい場合

  • 小さなアイスノンをフェイスタオルでくるんだものや、冷水で濡らして絞ったタオルを使って、脇や首や股下を冷やす
    (赤ちゃんの場合は下がりすぎるため一箇所に冷却しっぱなしは避ける)
  • 服を一枚減らす
  • 汗をかいているか身体を触ってみる
  • 汗をかいていたら拭き取って服を着替える

3水分をこまめにとる

水分をこまめにとる

熱があるときは、汗や吐く息でも身体の水分やミネラルがどんどん失われていきます。
母乳やミルクは普段通り飲ませ、その間にも麦茶やベビー用イオン水などをこまめにうながしましょう。

4熱が高いあいだはお風呂は入らずに体を拭く程度にしておく

熱が高いあいだはお風呂は入らずに体を拭く程度にしておく

湯船は体力を消耗させるので、汗をかいたらこまめに拭いてあげて服を着替えさせる程度にしましょう。
一日に一度はお湯で絞ったタオルで身体を拭いてあげましょう。すこし熱が下がって元気が出てきたときには、ごく短時間、シャワーで汗を流してもいいですね。

5冷却シップは熱を下げるのではなく、気持ち良いかどうか

冷却シップは熱を下げるのではなく、気持ち良いかどうか

冷却シップでは熱を下げる効果はありません。そのため、子どもが付けていて気持ち良さそうなのであれば使って、嫌がるときは使う必要はありません。

6解熱剤を使うかどうかの判断について

解熱剤を使うかどうかの判断について

病院で診察してもらうと、解熱剤(座薬や粉薬)をもらうことがあります。
以前は解熱剤を使うと「熱性けいれん」を引き起こす原因となると言われていたこともありましたが、近年ではその根拠はないとされていますので、解熱剤を使用することを躊躇する必要はありません。(熱性けいれん診療ガイドライン)
熱でしんどそうなら積極的に使っていきましょう。ただし、注意事項として「◯度以上の時に使用」や、「◯時間あける」と説明がありますのでその指示に従ってください。解熱剤を使用しても数時間後には熱が上がってくるので、投与するタイミングは重要です。
使用するタイミングとしては、ご飯を食べさせたい時間の前に使うと、数時間は熱が下がって身体が楽になるので、そのタイミングでご飯をあげてみましょう。また、夜寝かせたい時間の前に使うと、楽になって寝てくれることが多いです。起きた時には、ビッショリ汗をかいていることが多いので、サッと身体を拭いてお着換えしましょう。

7震えている時の対処について

震えている時の対処について

熱が出ると子どもの身体が震えることがあります。子どもが震える原因として、「寒くて震えている(悪寒)」のときと「けいれんしている」ときの2つが考えられます。けいれんは熱性けいれんという、だいたい15人に1人が起こす、決して珍しくない症状です。原因は明らかになっていませんが、脳の神経発達が未熟なために発熱の刺激でけいれんを起こすのではないかと考えられています。熱性けいれん自体は命に関わる病気ではなく、数分でおさまるのですが、目が上を向いて身体がガクガク震えてカチカチに固まるので、パパママが驚いて救急車を要請する原因No.1の病気です。

けいれんなのか、寒くて震えているのかの見分け方

この見分けるときにも、普段の観察のPALSが役に立ちます。つまり、声をかけて意識があるかどうか、目線が合うかどうかを見てあげましょう。 また、震えているときと震えていないときの境がはっきりしているかどうかを見ましょう。
熱性けいれんのときは急にけいれんが始まり2,3分すると止まるという、明らかにけいれんの境がはっきりしています。寒くて震えている場合は、しんどくて受け答えしてくれなくても目線はちゃんとこちらを向けることなら出来ますし、震えはじめたときの境がはっきりしていないのが特徴です。
もし手足を触ってあげて冷たいようなら、布団をかけてあげるなど身体を温めてあげましょう。